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倍返ししない小説 「ひなた弁当」感想

「ひなた弁当」山本甲士 感想


ドラマ「半沢直樹」は倍返し、10倍返しで、

憎む相手を土下座に追い込んだが、

小説「ひなた弁当」の主人公は、

リストラされても倍返しはせず、

自分の生き方を模索する。


50歳を目前にしてリストラされた主人公。

この男、もう少し頭の回転が良ければ、

リストラは回避できたかもしれないが、

同僚の言葉をうのみにしたばっかりに、

派遣会社へ出向になってしまう。


出向と言えば聞こえはいいが、

出向先は、単に派遣の仕事を紹介する会社で、

気が進まぬまま出勤してみれば、

派遣会社の仕事ができる訳ではなく、

派遣の仕事を紹介してもらうために、

登録の手続きをさせられただけ。

要は出向ではなく、リストラされたのだ。


若い人でも仕事がないのに、50前の男に、

良い仕事が回ってくるはずもない。


男が家にずっといると、

リストラされたことが

娘たちにバレてしまうため、

妻からは家にいないでほしいと

言われてしまう。


時間はたっぷりあるが、金はない。

そんな時、男はふと、

どんぐりは食べられるのではないか?と思う。

調べてみると、どんぐりは米を食べるより前から、

日本で食べられている事が分かった。


お金を払わなくても、食べられるものは

町の中にまだまだあった。

雑草の中にも、食用のものはある。


釣りに関しては、男は全くの素人だったが、

初対面の釣り人から、簡単な仕掛けを教えてもらい、

安い釣り具を購入して、

ただで魚も確保できるようになった。


釣り具の購入に、少しだけお金を使ったが、

どんぐりも、雑草も、魚も、時間さえあれば、

余るほどに手に入れることができる。


それらの食材を工夫して調理すれば、

美味しく日持ちさせることも出来た。

研究を重ねて、料理の腕も上がった男は、

この食材で、弁当屋を始めようと決意する。


販売するにあたり、男はその弁当を

「ひなた弁当」と名付けた。


天然のうなぎも自力で確保して、

弁当にも入れてみた。

口コミで売れるようになった「ひなた弁当」は、

新聞でも紹介される。


でも、食材も、調理も、販売も、

すべてこなすとなると、

店舗の提供者と2人で頑張っても、

弁当は40個作るのが限界だった。


収入は会社に勤めていた時とは、

比べものにならないほど減った。


しかし、生きがいという点から言うと、

男は会社にいたころより、ずっと輝いていた。


妻も娘も、そんな男のことを、

だんだん理解してくれるようになる。


男は無料の食材を確保しに外に出たことによって、

普段は接点のない人達とも、話をする機会を得る。

男は見知らぬ人から、影響を受け、

そしてまた、見知らぬ青年に影響を与える…。


読み終わった時に、

爽やかな気持ちが残る小説だ。


ただ、読み終えた後、

私は1つ疑問が残った。


果たして今後、この男は弁当屋だけで、

ずっと食べていけるのか?ということだ。


それで、どれくらいの儲けがあるのか、

自分なりに計算してみた。


食材の原価は、確かに安いが、

綿密に計算してみると、

男の月収は、高めに見積もっても、

12~13万あればいいほうかもしれない。

材料の入手が困難になれば、

0万を切る可能性もあるだろう。


でも、収入の額ではなくて、

生きがい、ということを考えると、

男の転職は大成功だったと言える。


倍返しも、土下座もない「ひなた弁当」。

お勧めの本です。


ひなた弁当 (2011-09-22T00:00:00.000)ひなた弁当 (2011-09-22T00:00:00.000)
(2011/09/22)
山本 甲士

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ドラマ・半沢直樹は、緊張感があって面白かったけれど、

最後の見せ場の、土下座のシーンだけは、

私はどうしても楽しめなかった。


原作にはない土下座のシーンが、

ドラマではやっぱり必要ということになって、

本当に土下座したくなかった大和田常務は、

土下座するまでに時間がかかったようだ。

土下座を見たい視聴者が多かったの??


私は、大和田常務は、半沢に土下座を強要されても、

ムッとしてその場を立ち去ったほうが、

自然だったような気がする。


土下座のシーンが1番スカッとした、

という人がこの本を読んだら、

少し頼りなく感じるのかもしれないが、

私は「ひなた弁当」の温かい読後感が好きだ。



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genre : 小説・文学

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