2015.05.03

アルジャーノンに花束を 原作 感想

アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス 訳・小尾芙佐


私はドラマの「アルジャーノンに花束を」は見ていない。


以下、原作のネタバレを含みます。


主人公のチャーリイ・ゴードンは精神遅滞者。

年齢は32歳だが、知能は幼児なみだった。


チャーリイはパン屋で働いていたが、

職場の仲間からいじめに遭っていた。

それでも笑顔を絶やさないチャーリイ。


チャーリイは利口になりたかった。

利口になれば自分を見捨てた母親も、

チャーリイのことを好きになってくれると信じていた。


白ネズミのアルジャーノンの実験で、

すでに成功していた知能を高める手術を、

チャーリイは受けることになった。


チャーリイが自ら経過報告を書くという形で、

話はつづられてゆく。


何の予備知識もなく、読み始めた私は、

なんと読みづらい小説だろうと思った。


ひらがなに少し漢字が混じっているが、

句読点が少なく、小さな「っ」が抜けていたり、

「…は」、と書くべきところが、

「…わ」になっていたりする。


読みづらかった原因は、

チャーリーが手術を受ける前、

検査を受けるあたりから

経過報告を書いていたからだ。


訳者の小尾芙佐さんは、

この冒頭の部分を訳すにあたり、

放浪の画家、山下清さんの

放浪日記の文章を参考にしたそうだ。


たどたどしい文章は、

やがて知的な文章へと変化してゆく。

チャーリイがアルジャーノンと

同じ手術を受けたからだ。


初めのうちは、迷路対決で

アルジャーノンに負けたチャーリイも、

やがては勝てるようになり、

ついにはアルジャーノンの研究のための

迷路を作るまでになる。


賢くなったチャーリイは、

職場で皆に愛されるようになったかといえば、

声さえかけてもらえなくなった。


チャーリイの身に何が起こったのか分からなければ、

チャーリイの態度が上から目線に思えたり、

急激な変化を怖く思うのも当然だ。


チャーリイはパン屋をクビになってしまう。


チャーリイはIQが185までになり、

自らに起こった変化を

論文としてまとめるまでに至る。


チャーリイは知能は高くなったが、

感情や情緒が知能の高さに

追いつかないことに苦しむ。


利口になれば愛されると思っていたが、

その期待にも裏切られてしまう。


やがてチャーリイは、アルジャーノンが、

迷路の実験中に、イライラして壁にぶち当たったり、

パニックになる様子を見て、

この手術に欠陥があることを悟る。


アルジャーノンの脳に起こった変化が、

やがて自分の身にも起こるであろうことを

恐れるチャーリイ。


アルジャーノンが死ぬと、

チャーリイはお墓を作ってやった。


チャーリイにとって、アルジャーノンは、

ただの白ねずみではなく、特別な存在だった。


チャーリイの知能は急激に下がり始める。

タイプライターが打てなくなり、

以前、自分が書いた論文の意味が分からなくなった。


それでも前向きな気持ちで、

たとえ意味が理解できなくても本を買い込み、

本の読み方を忘れないように努力するチャーリイ。


知能が落ちたチャーリイは元のパン屋で働く。

昔の同僚はチャーリイがいじめに遭うとかばってくれた。


しかし、ついにはパン屋で働けないほどに、

知能も身体能力も落ちてしまう。

チャーリイは施設に入る決意をした。


チャーリイは経過報告書の最後に

「ついしん」として記す。


「どーかついでがあったら

うらにわのアルジャーノンのおはかに

花束をそなえてください」


そこで小説は終わる。


チャーリイは知的障害センターの教師、

アリスに恋をした。

チャーリイにとって、アリスと愛し合うことは、

ほんのひと時の神秘的ともいえる体験だった。


チャーリイの知能が、高くなり過ぎれば、

アリスと愛し合うことはむずかしくなり、

チャーリイの知能が、低くなり過ぎても、

アリスとの愛は成立しなくなる。


なんとも切ない話だ。


運動神経機能が減退し始めたチャーリイが

イライラしているとアリスが言う。


「高いIQをもつよりもっと大事なことがあるのよ」


チャーリイが1番分かっているであろうことを、

アリスが言ったのだ。

チャーリイは腹を立てる。


チャーリイの状態が安定していれば、

2人はずっと愛し合えたかもしれない。

そう思うと切ない。




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